そう、思い起こせば、幼き日々、一冊の本が手元にあった。これがすべての、始まり・・・・・。
この本の中の主人公は、ありとあらゆる生き物と話ができ、世界中を飛び回っていた。こんなふうになりたい、それが、ぼくの出発点となった。その人は動物のお医者さん、名をドリトル先生という。
動物と自由に会話したい、この欲望のためにぼくは何をすべきか考えた。しかし、そのときの中学生には、方法すらわからないことだった。そのとき、聞かされたのが、動物とのコミュニケーションについての話。チンパンジーか、イルカで、研究が進んでいることを知った。
その頃、サルはある事情から、携わりたくないと思っていた。そこで、視点はイルカへと移っていったのである。
イルカ・・・。そのときまで、水族館でショウをする動物、その程度でしかなかった。獣医になろうと思ったのはそんなときではなかっただろうか、いろいろと悩んだ末に、結局は獣医の大学へと進学し、それからが、イルカフリークの始まりであった。
勉強はした。しかし、開業をしようとは、思ってもいなかったので、基礎系の勉強しか、おもしろくなかった。
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動物の体の仕組みを知りたかった。脳がどんな構造をしているのかを。
知識を束ねる脳がどのようになっているか・・・。解剖学を専攻し脳に関係のある研究もした。しかし、それでも完全ではなかった。しかし、進学の道も閉ざされ、流されるままに、就職してしまうことになった。
いやなことは続かないもので、わずか3年で最初の職を辞めた。やっと自分の好きな世界へ入れる。鯨やイルカの世界へ・・・。しかし、甘くはないのだな。
鯨の捕獲調査であった。捕鯨そのものを否定するつもりはないが、いざ自分が行うとなると別問題である。なにか釈然としないものが常に頭の中で渦巻き、「なにかが違う」と問いかけてくる。
そんなこともあったせいか、体の一部を失う怪我をしてしまった。
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